なぜ、戦国時代の時の権力者たちが、茶の湯・いけばなを重用したのか?

今年6月に映画化されると聞き、お正月早々、本屋さんに走りました。

「花戦さ」 鬼塚 忠(角川文庫)

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戦国時代の権力者たちと、当時、茶の湯や立花を町の人々に伝え広め、美の道を追求し文化に引き上げた茶の名人、千利休と花の名人、池坊専好を主役とした時代劇エンターテイメント。スピード感もあり、読み物としても面白かったです。

なぜ、権力者たちは茶の湯や花を利用したか

当時、茶の湯も立花も草創期であり、池坊の六角堂に生けられる花を見ることは、戦国乱世に暮らす町の人々の癒しでもあり、花の姿、花を活ける僧の姿に、日々の暮らしをひたむきに生きる自分たちを重ね、生きる力を受け取っていました。また、刀の名手である名だたる大名たちも、自分の心と向き合い、自分にないものを美の道に通じるものから学びたいと、自分を磨くために積極的に取り入れていました。

時の権力者たちは、有名な茶器を集め盛大な茶会を開いたり、立派な花を生けさせることで、諸大名や家臣たちに自分の権力を誇示するという手段にもしていました。

 

小説の中でも、花や茶がいかに町民に愛されていたか。茶の名手や花の名人が、権力者に媚びることなく自分の美を追求し、たとえ命を迫られても自分の美を貫き通したことが描かれています。

 

天下を取った秀吉が、日に日に驕り高ぶり、逆らえるものがいなくなった時、その意に反して自分の美学を通した利休が秀吉により自害させられます。

刀と花の戦い

刀では秀吉に逆らえるものがいなくなった時、池坊専好は秀吉に「花」で戦を望みます。

秀吉は、専好の生けた花を見て、心を揺さぶられ、自分の内面に気づいていきます。

(この先は、ぜひ!小説か映画で!!)

戦国時代には、戦略を練り、刀や家臣をコントロールすることに長けている武将たちでも、きっと「いつ自分が倒されるか?家族や子孫を守り通すことができるのか?」不安や悩みを抱えていたことと思います。強く見せるために、権力を誇示し、虚勢を張り、心に頑丈な鎧をかぶっていた武将たちが、茶の湯や花の道に求めていたものは、何かと比べることない「真の強さ」なのではないでしょうか。

千利休や池坊専好の目指していた、「省略することから見えてくる本当の美しさ」「雑木の中から一番良いものを見出す確かな眼力」「自然が持っている力を生かし切る強さと優しさ」「自分の道を命がけで究める強さ」を武将たちは自分たちに足りないものとして恐れ、学びに行ったのだと思います。

小説の中でも、織田信長が、「猿よ、茶と花と、人の心を大切にせえよ。そういう武将になれ」
と言っています。一番大切なことが何か、わかっていたのですね。

フィクションではありますが、作者が今の時代に必要なことを言わせているのでしょう。
(本書は2011年12月刊行です)

ビジネスの世界で戦っているリーダーたちも、花と対峙し、自分を解放し、思い通りにならない自然(花)での表現をすることで、真の自分を見つけ、ビジネスに活かせる力を磨くとともに、日本人の精神を次世代につなぐメッセージを発信しています。
(ご参照ください。flower japan )

 

花の道を極めるには、一生かかるでしょう。自分自身、どこまで追求できるか、楽しみでもあります。

 

そして、今まで花やお茶の世界に触れたことのなかった方々も、花をいける心、茶の湯の心に触れてみることで、日々の仕事や暮らしに生きるヒントが見つかると思います。

 

新しい年が始まりました。まずは、気軽に花やお茶を楽しむところから、一緒にはじめてみませんか?思いがけない自分と出会えますよ。

いけばなコミュニケーション講座

いけばなを通して自己表現をすることは、他者との関わりなど日常で欠かせないコミュニケーションスキルを高め、あらゆるシーンで役立ちます。

ただ花をいけるのではなく、テーマに則り目的を意識しながら花と対峙します。それは自分と向き合う体験となり、様々な気づきを得るでしょう。