只「今」の「心」を大事にする

今日は鏡開きですね。お正月も終わり、いよいよ新しい一年が動き出しました。朝からお天気も良く、朝日を浴びながら気持ちよく駅まで30分ほど歩きました。 今日は、自分の身体をじっくり使っていろんなことを感じた1日でした。
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年季の入ったモレスキンのノート。字、上手になりたいです・・・

 

まずは、朝から写本室へ。(写経ではありません。)

3年半ほど前から、文字美術家の遠山由美さんが主宰されている、「ドゥブサル写本室」に時々通っています。ヒルサイドテラス(代官山)にある、隠れ家のようなライブラリー。都会なのに緑に囲まれ、窓から陽の光が入るとても心地よい場所です。

 

本を読み、字を書くだけなら、自宅でも良いのでは?と思われるかもしれません。が、「この」場所に行き、書くことだけに集中する時間と、写本の前後に、感じたことをほんの少し遠山さんとお話しできることに価値があるのです。

 

 

こちらでは、遠山さんが選んでくださるテキストを、自分のペースでじっくり読み、それをひたすら「手でノートに書き写す」。ただ、書き写すだけなのですが、手触りの良いノートに、書きごこちの良い鉛筆を使って、自分の手で一字一字、書いていくことで、とても集中し、文章もじっくりと味わうことができます。

 

テキストは、近代文学あり、禅の言葉あり。普段使わない旧漢字も入っていて、少し難しいのですが、それらを流し読みするのではなく、心に留めながら読み、書き写していくうちに、文章が声となって体の中に染み入ります。

 
まるで寒い時に、温かいスープを飲み、じんわり胃に栄養が吸収されていくかのようです。

 

そして、行くたびに、なぜか今の自分に必要なことや、関連しているテキストに出会えるのも不思議な魅力。

 

今日のテキストは、江戸時代の臨済宗の僧侶、道鏡慧端(正受老人)「正受老人 一日暮し」

でした。

 

今の心を疎かにして明日はない。遠い先のことばかり考えず、ただ「今」の「心」(「念」)に集中することの大切さが書かれていました。その積み重ねが、明日につながりますものね。

 

なかなか凡人にはできません。正受老人ですら生涯かけてそのことに打ち込んだそうです。

 

自分の言葉として、取り入れ、血肉にするには

近頃では、調べ物をするときは、パソコンで調べ、気になるところはコピペして保存したり、印刷して必要なところだけ切り抜くことが多いです。気軽に保存できるので自分の頭で記憶しようとせず、気づいたら何をどこに保存したのかわからなくなってしまう、なんてこともあります。

 

文字を、「打った」り、「切り貼り」しているだけでは、さらりと流れていってしまうのです。(あくまでも 私の感覚です)

 

でも、自分の手で書き留めたり、一文一文を丁寧に読み込んで行くと、しっかりと自分の体験として身について行く実感があります。一度にたくさんを取り入れることはできなくても、しっかりと自分のものとすることができます。

 

今年は、自分の「手」で文字や文章を「書く」という、ただ 「今」の「心」を大事にする時間を大切にしたいと思います。

 

そして、花と向き合う、「今」その瞬間を大切にします。

 

花も、人間も日々移ろい続けますから。

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