いけばなで気づく、自分の対人関係の「クセ」(2)
遊中川のテキスタイル。昨年出会ってから、心惹かれてちょこちょことお店をのぞいています。
新春に登場した春の小紋シリーズ。名刺入れ。春に縁起の良い唐草模様と、野山に芽吹く蕨、ふきのとうが描かれています。一目惚れでお買い上げ。う〜ん、春が来た!
手で績ぎ(つむぎ)、手間暇かけて織った麻生地・・・作られる過程といい、描かれた情景といい、丁寧に作られていて丈夫だし、手仕事の温かみを感じます。大事にしたい日本の心です。
昨日は、「自分の思いが強すぎて、花そのものの良さを活かしきれない」パターンでした。
今日は、
「花の存在感に圧倒されてしまい、逃げ腰になってしまう」パターンです。
ダリア (赤)の花言葉は、「威厳・優雅・華麗」など。
花の存在感に圧倒されてしまう
ダリアは見るからに存在感があり、1輪咲いているだけで圧倒される美しさです。しかも、大輪。花姿は完成しているし、茎もまっすぐ。葉っぱも大ぶりで皮製品の様な肉感。
花瓶にただ、すっと挿すだけで絵になってしまいます。
はて、困った。
いけばな人としては、どんな時も、どこかに自分の手を加え、花をより美しくしたいのです。
せっかく切り取られた花の命を最大限に活かすのが礼儀だと思います。
そういう時は、動揺している気持ちをそっとなだめながら、もう、花の懐に飛び込みます。
やるしかない!と心に決め、自分をさらけ出していきます。そうすると、「花」が自らのパワーを使って、協力してくれるのです。自分を出してくる相手には、花も応えてくれます。
諦めとは違う。力で戦うのでもなく、白旗をあげるのでもなく、相手の胸を借りることで、良い結果が生まれます。
ベルベット調の花びらを、夜会のドレスに見立てました。1輪は水中花にしました。レースフラワーをふわっと絡めて、レースのベール付きです。
その場では必死でも、記録に残しておくと、経験値として積み重なりますね。思い切った結果が失敗でも、どこを改善すれば良くなるかを考えることで、引き出しが増えます。
花は、人でもあります
ビジネスの現場でも同じ様な場面を経験されている事でしょう。
尊敬する大先輩の前で、失敗したらどうしよう・・・せっかく大きな取引が成立しそうだけど、まだ未体験の領域。怖いし、本当に自分にできるのだろうか?
ビビります。本当に怖いです。いくら事前に準備していても、緊張します。
でも、怖がって卑下しているよりも、思い切って自分の思いを伝えられると、相手も暖かく受け止めてくださる様に感じませんか?
もちろん、日頃から、自分の能力を高める努力や事前準備があって・・・の事です。が、それに加えて最後の最後は、「思い切って自分を信じ、相手を信じて、相手の懐に飛び込めるかどうか?」にかかっていると思います。
花と向き合うことで、等身大の自分に出会える
昨日・今日と2パターンお伝えしました。
何れにしても、「自信過剰になったり、自分を卑下する事なく、安心して自分を表現できる」事が鍵です。相手を見下したり、必要以上にへりくだる事なく、どの様な立場の人とも、人としての礼儀をわきまえつつ、対等にお付き合いする。子どもや部下に対しても、力でコントロールせず、相手の思いを尊重する。
なかなかできることではありません。
が、花が相手をしてくれます。花と向き合い、等身大の自分に出会い、花を大切にしていけることで、少しずつ、日頃の人関係の中でも「フラットな自分」でいられる様になりたいものです。
いけばなコミュニケーション講座
ただ花をいけるのではなく、テーマに則り目的を意識しながら花と対峙します。それは自分と向き合う体験となり、様々な気づきを得るでしょう。