今、生きていること、そのものを目的にする

ジャーマンアイリス・センダイハギ・クロトン

真夏日のお稽古でしたが、紫と黄色の対比が涼しげ。花器もシルバーのつや消しにして、さらに涼感アップしました。涼しさをお届けできたでしょうか?

 

いけばなは、動きません。でも、風が通るように、動きを感じられるようにいけると、動きのある、生き生きとした表情を魅せてくれます。

 

お花さんのおしゃべりも聞こえてくるかな。

 

 

花をいけると、どんな効果があるのですか?いけばなをすると、どのくらいコミュニケーション能力が上がるのですか?と聞かれることがあります。

 

正直、わかりません。それは、いける人、いけばなを体験した人が、どのくらい感じるか?は人それぞれだからです。そして、指導する側が、「どうしたら感じてくれるか?感じさせられるか?」と、理論的にプログラムすればするほど、相手は、「矯正・強制させられる」と感じ、ストレートに花の良さを感じることができなくなります。

そもそも、花と向き合って、「自分で気づく・見出す」ことが「いけばな」なのでね。

「目的」を持って、こちらが意図した通りになるようにさせたくない。

では、なんのために、いけばな教室を開くのか?

それは「こうなりたい」「○○を達成するために」という目的を達成したり、成果を出すためではなく、「花と向き合うことの楽しさを経験するため」「そこから、自分を見つめるため」に、一つ一つの出会いを体験する場を開きたいからです。

安心して、自分の想いを表現する場。失敗を恐れずやってみたいことを経験する場。

花はなぜ咲くのか?

そもそも、お花だって、「誰かを癒そう」と思って咲くわけではないですよね。

動物や赤ちゃんだって、「可愛がってもらうため」に生きているのでもない。食べ物になるお野菜や、お魚・お肉だって「美味しく栄養たっぷりに育って、人間に栄養を与えてあげよう」なんて思っていないはず。

でも、人間は成長するに従い「成績を上げるために」勉強したり、「会社で実績を上げるために」仕事を頑張ったり、「自分の欲しいものを手に入れるために」お金を稼いだり、「将来の不安に備えるために」貯蓄をしたり・・・

何かを達成するために、目標を定めて頑張るようになります。学校でもそう教えられますよね。

事業を起こすときも、「なんのために仕事をするか?これをすることで、どんな人を幸せにできるか?どのくらい社会に貢献できるか」脳みそに汗をかいて、ターゲットを決め計画を立て、実行し、うまくいかなければ再度プランを練り直し・・・と「目標達成するために」頑張ります。そして、達成できなければ、失敗という評価を受ける。

「経験」そのものが大切な目的

 

でも、自分は最近「経験そのものが、大事な目的ではないか?」と感じています。

遠い目標を目指して、今、やりたいことを我慢したり、必要以上に頑張るのではなく、今、ここでやっていること、経験していることを一つ一つ楽しんで行く。ちょっと苦しくても、自分で決めたことだから、失敗や外からの評価を恐れずやってみる。

そんなだから、結果が出せない、と言われそうですね。確かに「自分で想像できる程度の目標や結果は」出せないかもしれません。

 

でも、私は、今、ここで経験していること自体が面白いし、(たまにしんどいけど)楽しい。それを周りにいる人と共有したり、伝えて行くこと自体が楽しいんです。それを見た人が、「あれ〜こんなに楽しそうに生きている人がいるよ。変わってるね〜。でもちょっとおもしろそうかも?私もやりたいことやってみようかな?」って、動き出すかもしれない。

最終的な目標は?!

私の最終的な目標は、「あ〜楽しかった!やり残したことはない。ありがとう!」と言って、この世を卒業して行くことです。それは、多分、大往生だった祖母二人が、「ありがとう」という言葉を残して、いろんなものをぜ〜〜んぶきれいにしてお空に飛び立つ姿を見たからだと思います。それはそれは見事でした。

目標を明確に定めていないから、予定と違う出来事にであっても、軽やかに受け入れることができます。最初の想定を超える結果が出ることもあります。目標を定めていたら「今はこちらを優先すべき」という思考に縛られて、変更できないこともありますからね。

もちろん、「ちゃんと計画的に、目標を持って行動するべきです!」と思う人もいるでしょう。「自分の好きなことばっかりやっていないで、社会に役立つことをしなさい」「使命感を持って、自分の力を発揮しないなんて、いい加減ね」と思う方もいるでしょう。

確かに、いい加減かもしれません。

でも、我が家の思春期真っ只中の息子たちには、「お母さん、いつも楽しそうだね〜。子どもの気持ちをよくわかってるね。大人になってもそんな風に自由にいられるのは、楽しそうだね!」といたって好評です。少なくても世界最小単位のグループには役に立ってるようです。これが風が通るように少しずつでも周りに広がっていけば、ちょっとは世の中のお役に立てるのではないかしら?

 

せっかく、自分の本当の想いを表現するいけばなを仕事にしているのですから、私の大事なお役目は「今を存分に楽しむ」ことだ!と思っています。

 

自分の人生そのものを楽しむ・味わう変わった大人が、この世の中に混ざっているのも、悪くはないかも?

と思うこの頃です。

 

 

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